行政書士の実際

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■ 毎年、新規登録者と廃業者が約同数で300名から500名超が入退会。
行政書士は、東京会において多い年は500名位の新規登録者がおりますが、少なくもその半数以上が3年以内に退会します。長い間、専業行政書士を続けることは並大抵の事でないことが理解できます。新規登録者皆さんのやり方では行政書士は食えないのです。別の観点から見れば、長い間、行政書士を続けている先輩諸氏は尊敬に値するとも言えます。

■ なぜ新規登録行政書士が、食べられないか。
言いにくいのですが、今まで接した新規登録者から得た感想です。1.技能知識が未熟。2.営業ができない。3.事務所が無い。4.電話に出ない。5.社会性が無い。6.社交的で無い。7.責任感が無い。8.その他。これらが主な理由だと思いますが、ご自分に問いかけて見てください。一番大切な事は、やはり業務知識だと思います。それも本に書いてあることは依頼者も調べて知っています。本やHPに書いていないことがノウハウなのです。勿論まわりの先輩は誰も教えてくれません。

■ 行政書士の実際。
他の士業の失敗率は行政書士ほどではありません。勿論、弁護士、税理士であっても新規登録して数年で廃業する人も少数ですがおります。しかし行政書士は圧倒的多数が廃業して行きます。或いは、長期登録者であっても収入が殆ど無くアルバイトで生計を維持している人も少なくありません。

問題は、行政書士は、他の士業と異なり専門性が広すぎて専門家になる為には多くの歳月を要することにあると考えています。試験制度と実務とがこれほどまでに離れている資格は他にはないと思います。しかも、現状の行政書士制度においての新人養成システムは整備されていますが新規登録者は参加せずに、試験合格後にすぐ登録をして、知識もないままにHPを開設して「相続は専門家の行政書士へ」などと宣伝をします。このようなことは、合法であっても、知識がないままに「専門家」と宣伝することは消費者、依頼者を道義上で騙すことに外なりません。
知識がなくても同じ事務所に先輩が居て常に協力を仰げる体制であれば別ですが、分からなければ調べ、或いは、先輩に聞けば良いでは、行政書士として不味いと思います。
未経験とは、どこが分からないかも分からないから問題なのです。一応、行政書士業務の疑問点をいくつか簡単に下記に記載いたしました。これは初級の一部です。
どれだけの方が正解できるでしょうか。
法律解釈では無く実践的回答が必要です。(目から鱗が顧客を納得させます。)

■ 初級行政書士実務問題の例
1.弁護士法と行政書士法の相違を、厳格に理解しているか。
2.会計業務を取り扱うときの税理士法との関係は。
3.内容証明郵便を受け取ってくれない時(受領拒否)。受領拒否された内容証明を保存しておくでは無知。さらなる手続きがベター。
4.建設業許可申請をしたが、担当者と拗れて受理してくれない。
従って、不服申立もできないが、あなたは。(不服申立ては受理されて初めて可能)
5.宣誓認証とは何ですか。どのようなときに利用しますか。
6.許認可申請書の綴り方は、ホチキス、紐とじ、袋とじ、綴じずにバラで。どちら。
7.訂正印で文書の訂正をしたが、さらに間違えていることに気づいたが。
8.会社設立を依頼されたが、不正競争防止法、商標法違反はチェックしたか。どのようにするか。
9.会社設立の目的は、依頼者が記載してきたものを鵜呑みで良いか。合法で公序良俗に反せず、言語が理解できる「目的」であれば受理されるが、それで良いのか。対外的信用は。
10.行政書士は、登記申請書の作成をすれば司法書士法違反である。無料であっても違反である。登記は相談も違法。
どうすれば良いか。(代理をせずに本人申請の登記書類を作成しても違反。)
11.内容証明郵便を行政書士が代理人として発送すれば弁護士法違反。どうすれば良いか。
12.確定日付、認証、公正証書の相違は。
13.会計業務を取り扱いたいが会計ソフトはプロ用としてどれが良いか。
14.総会の委任状をファックスかPDFで送信してもらうことは問題ないか。
15.代理、代行、代表の区別を正確に理解しているか。
16.税理士、弁護士等と業務提携することは違法だが、どうすれば合法か。

■ 弁護士の真似事は不可
行政書士が「街の法律家」と言われる為に勘違いしている方が結構いる事に時々、驚かされます。弁護士の真似事をして、事件に介入して相談を受けるHPを見かけます。大変に危険です。弁護士法違反で逮捕者が出ています。行政書士は争訟性の有る法律事務は取り扱いができません。飽くまでも予防法務ですので契約書などの作成及び一般の契約交渉代理のみになります。
示談書を作成する事ができても、実際の事件が起きました。郵送で送った示談書に「捺印して返信して欲しい。」と相手方に電話しただけで示談交渉をしたと見なされ弁護士法違反とされた例があります。示談交渉は相手方に合意の意思表示を求めることにほかなりません。示談書を送付して捺印を求めることは相手に合意の意思表示を求めることですから示談交渉そのものになるのです。遺産分割協議にも関わることができません。どこまでが合法で、何が違法かもしっかりと理解しなければ行政書士業務はできないのです。
常に危険と隣り合わせの資格とも言えると思います。しかし、これだけ素晴らし資格も他にはないと思います。