争訟性のある法律事務

争訟性のある法律事務とそうでない法律事務の具体的区別方法

争訟性のある法律事務とは、どのような法律事務であろうか。学説、判例は色々と説明しているがこれと言った分かりやすい説明がなされていない。しかし、実務の世界での区別の方法はそう難しいものではない。争訟性のある法律事務とは、当事者間において合意形成がなされない場合の解決方法が裁判の道しかない案件のことを言うと理解すると良いであろう。従って、示談交渉、相続協議等は全て争訟性のある法律事務である。それに対して、契約交渉の場合、売買契約等の交渉が不調に終わっても、物件を売らないことを理由に通常は訴訟を起こすことはできない。然して、通常の売買契約の交渉代理は争訟性のある法律事務ではないのである。相続は、原則的に、協議が整わなければ裁判を求めるしか解決方法は無いのであるから、遺産分割協議は争訟性のある法律事務であると解する。従って、行政書士は遺産分割協議には参加せずに遺産分割協議書の作成を業として行う。

学者は言論の自由から、争訟性のある法律事務の解釈をいろいろと主張する。しかし、その責任を問われるのは当事者の行政書士である。逮捕されるのは学者ではなく現場の行政書士であることも自覚しなければならない。もし、行政書士が争訟性のある法律事務を取り扱い又は現在の争訟性の無い事務を広げたいのであれば、法改正の道しかないと考えるべきである。現行の行政書士法が国民の利便の為に完ぺきであるとは筆者も考えていない。行政書士の業務を依頼者の為に一部拡大する必要があると考えるが、現行法を厳格に守らない者に法改正を主張する資格はない。

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